2025年10月23日

皮脂欠乏性湿疹とは?
冬になると「肌がかゆい」「粉をふく」「かいて赤くなってしまう」といった症状が出ていませんか?
それは、「皮脂欠乏性湿疹(ひしけつぼうせいしっしん)」の可能性があります。
これは、皮膚のうるおい成分(皮脂や水分)が減ることで、バリア機能が弱まり、刺激に対して炎症を起こしやすくなる状態です。特に乾燥しやすい冬や、年齢を重ねた肌に多く見られます。
主な症状
- すねや腕、背中などにカサカサ・粉ふき
- つい掻いてしまうほどの強いかゆみ
- 掻き壊して赤くなったり、湿疹ができる
- 乾燥がひどく、ひび割れや皮むけがある
原因と予防法
皮脂欠乏性湿疹の主な原因は、皮脂や水分の減少による「乾燥」です。
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悪化させやすい要因
- 冬の乾燥した空気
- 熱いお湯での長風呂・こすり洗い
- エアコンによる室内の乾燥
- 加齢やアトピー素因
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予防のポイント
- 入浴は40℃以下のぬるめのお湯で
- ゴシゴシ洗いは避け、やさしく洗う
- 入浴後すぐに保湿剤をたっぷり塗る
- 室内の湿度管理(加湿器など)
保湿剤の正しい塗り方
保湿剤を正しく使うことで、皮膚のバリア機能を高め、かゆみや湿疹を防ぐことができます。
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【塗るタイミング】
- 入浴後5分以内がベスト!
- 水分がまだ肌に残っている状態で塗ると、より保湿効果が高まります。
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【塗り方のポイント】
- 手のひらに適量とる 1回あたり、大人の手のひら2枚分の範囲には、約0.5g(指の第一関節まで出した量)を目安に。
- こすらず、やさしくのばす 摩擦を与えず、手のひらで「押さえるように」なじませます。ティッシュが付く、テカる程度を目安に塗ります。
- 全身まんべんなく かゆみが出ていない場所にも塗りましょう。乾燥を感じにくい部分もケアすることで再発防止になります。
治療について
当院では、症状の程度に合わせて以下のような治療を行います。
- 保湿剤(ヘパリン類似物質、白色ワセリンなど)
- 炎症やかゆみが強い場合は、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬
- 慢性的な方には生活習慣のアドバイスも行います
「ただの乾燥」と軽く考えず、かゆみや赤みが続くときは、ぜひ一度ご相談ください。
よくある質問(Q&A)
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Q1. かゆいところだけに塗ればいいですか?
→ いいえ。 乾燥していなくても、予防のために全身にまんべんなく塗ることが大切です。
Q2. どれくらいの頻度で塗るべきですか?
→ 「1日2回(朝と入浴後)」がおすすめです。特に入浴後は必ず塗ってください。
Q3. 市販の保湿剤でも大丈夫ですか?
→ 軽い乾燥には市販の製品でもよい場合があります。ただし、症状がひどい・長引く場合は受診をおすすめします。
Q4. 保湿剤を塗ってもかゆみが治まりません
→ 保湿だけでは炎症が抑えきれないこともあります。炎症を抑える外用薬や内服薬が必要になることもありますので、早めにご相談ください。
Q5. 一度治ったら、もう保湿しなくていいですか?
→ 症状が治まっても、保湿を続けることが再発予防になります。 特に冬は継続的なケアが重要です。
最後に
皮脂欠乏性湿疹は、正しいスキンケアと早めの治療で改善できる皮膚疾患です。
「年齢のせいかな?」「冬はいつもこんなもの」と我慢せず、気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。
肌の乾燥対策は、今日から始められます。
つらいかゆみや湿疹を防ぎ、快適な毎日を一緒に取り戻しましょう。
