2026年3月31日

卵巣嚢腫や卵巣腫瘍は、卵巣にできる「できもの」の総称です。 多くは良性ですが、一部には悪性腫瘍(卵巣がん)が含まれるため、 適切な評価と経過観察が重要になります。
健診や婦人科検診、あるいは別の症状の検査中に偶然見つかることも多く、 「自覚症状がないまま指摘された」という方も少なくありません。
卵巣嚢腫と卵巣腫瘍の違い
一般的に、液体成分を多く含むものを「嚢腫」、固形成分を含むものを「腫瘍」と呼びますが、 実際には両者をまとめて「卵巣腫瘍」と表現することもあります。
重要なのは名前よりも、良性か悪性か、手術が必要かどうかという点です。
よくみられる種類
機能性嚢胞
排卵に関連して一時的にできる嚢胞で、数か月で自然に消失することが多いものです。
内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)
子宮内膜症に関連して卵巣にできる嚢胞で、内容が古い血液であることが特徴です。
成熟嚢胞性奇形腫(皮様嚢腫)
比較的若い女性に多く、脂肪や毛髪などを含むことがある良性腫瘍です。
漿液性・粘液性腫瘍
良性から境界悪性、悪性まで幅があり、慎重な評価が必要です。
どんな症状がある?
- ✓ 下腹部の違和感・張り
- ✓ 腹部膨満感
- ✓ 下腹部痛
- ✓ 頻尿・便秘(圧迫による)
- ✓ 無症状(検診で偶然発見されることも多い)
小さいうちは症状がないことも多く、ある程度大きくなってから気づくケースもあります。
注意が必要な症状
以下のような場合は、早めの受診が重要です。
- ✓ 急な強い下腹部痛(卵巣茎捻転や破裂の可能性)
- ✓ 急激な腹部膨満
- ✓ 体重減少や全身倦怠感
検査・診断について
主に経腟超音波検査で評価を行います。嚢胞の大きさ、内部構造(液体か固形か)などを確認し、 必要に応じてMRI検査を追加します。
また、腫瘍マーカー(CA125など)を参考にすることもありますが、 これだけで良悪性を判断することはできません。
治療はどう考える?
卵巣嚢腫・卵巣腫瘍の対応は、大きく以下のように分かれます。
経過観察
小さく、明らかに良性と考えられる場合は、定期的な超音波検査で経過をみます。
手術治療
以下のような場合には手術を検討します。
- ✓ サイズが大きい(一般に5〜6cm以上を目安)
- ✓ 増大傾向がある
- ✓ 悪性の可能性が否定できない
- ✓ 症状がある
手術は腹腔鏡手術が選択されることが多いですが、 病変の性状によっては開腹手術が選ばれることもあります。
よくあるご質問
Q. 卵巣嚢腫は自然に治りますか?
A. 機能性嚢胞は自然に消えることが多いですが、それ以外の腫瘍は基本的に自然消失しません。
Q. がんの可能性はありますか?
A. 多くは良性ですが、一定割合で悪性腫瘍が含まれるため、画像所見をもとに慎重に判断します。
当院の診療方針
当院では、「すぐに手術が必要かどうか」を冷静に見極めることを重視しています。
不必要な手術を避けつつ、見逃してはいけない病変は確実に拾い上げる。 そのバランスを大切にしながら、患者さま一人ひとりに最適な方針をご提案します。
