子宮筋腫
子宮筋腫
子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)は、子宮の筋肉(平滑筋)から発生する良性腫瘍です。生殖年齢の女性に多くみられ、30〜40歳代で頻度が高くなります。多くは良性で、悪性腫瘍(子宮肉腫)へ移行することは極めて稀とされています¹。
筋腫が存在していても無症状の方も多く、「筋腫がある=必ず治療が必要」というわけではありません。症状や生活への影響を総合的に判断し、治療方針を決定します。
病理学的・画像診断学的検討を含めると、生殖年齢女性の約40〜60%に子宮筋腫が存在すると報告されています²。
一方で、臨床症状を伴うのは全体の約30%前後とされます³。
子宮筋腫はエストロゲン・プロゲステロン依存性腫瘍であり、
という特徴があります⁴。

子宮内腔に突出するタイプで、比較的小さくても過多月経や不正出血を起こしやすく、不妊や流産との関連が指摘されています⁵。
子宮の筋層内に発生する最も一般的なタイプです。サイズや数によって、月経量増加や圧迫症状を来します。
子宮の外側に向かって発育するタイプです。月経症状は軽度なことが多いものの、大きくなると周囲臓器(膀胱・腸管)への圧迫症状を生じることがあります。
※無症状のまま経過する方も少なくありません。
治療の必要性は、以下を総合的に考慮して判断します。
無症状または症状が軽度の場合は、経過観察のみで問題ないケースが多いのが実情です。
症状が軽度の場合、定期的な超音波検査で経過をみます。
※薬物療法は、筋腫を根治する治療ではありません。
症状が強い場合や、妊娠・出産への影響が懸念される場合には、手術療法(筋腫核出術、子宮全摘術)を検討します。
子宮動脈塞栓術(UAE)は、筋腫への血流を遮断する治療法ですが、
とされ、選択されるケースは限られます⁷。
当院では手術・UAEは行っておらず、必要な場合は適切な高次医療機関へご紹介します。
当院では、エビデンスに基づいた説明と治療選択を重視しています。
「治療ありき」ではなく、患者さま一人ひとりの状況に応じて、最適な選択肢を一緒に考えていきます
1.Stewart EA. Uterine fibroids. Lancet. 2001
2.Baird DD et al. High cumulative incidence of uterine leiomyoma. Am J Obstet Gynecol. 2003
3.Zimmermann A et al. Epidemiology of uterine fibroids. Best Pract Res Clin Obstet Gynaecol. 2016
4.Bulun SE. Uterine fibroids. N Engl J Med. 2013
5.Pritts EA et al. Fibroids and infertility. Fertil Steril. 2009
6.Donnez J, Dolmans MM. GnRH antagonists. N Engl J Med. 2020
7.Gupta JK et al. Uterine artery embolization. BMJ. 2012
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