2025年11月18日

帯状疱疹とは
帯状疱疹は、かつて「水ぼうそう(水痘)」を起こした際に体内に潜んだウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス:VZV)が、加齢や疲労、ストレス、免疫力低下などをきっかけに再活性化して発症する病気です。典型的には神経に沿って片側だけに「帯状」にピリピリした痛みと赤い発疹・水ぶくれが現れます。
主な症状
- 発症前のピリピリ・ヒリヒリする痛み
- その部位に数日後、赤い発疹、水ぶくれが帯状に出る
- 発熱やだるさを伴うことがある
合併症と注意点
もっとも問題となるのは「帯状疱疹後神経痛(PHN)」です。皮疹が治ってからも数か月〜長期にわたって強い神経痛が残り、日常生活の質を低下させます。眼や顔の神経に及ぶと視力障害や顔面麻痺を引き起こすこともあります。
治療のポイント
帯状疱疹は早期治療が鍵です。発症初期から抗ヘルペスウイルス薬を開始することで症状の軽減やPHNのリスク低下が期待できます。痛みに対しては鎮痛薬や神経障害性疼痛治療薬を用います。疑わしい発疹に気づいたら、我慢せずにはやめに皮膚科を受診しましょう。
抗ヘルペスウイルス薬の飲み薬は、効果があらわれるまでに2日程度かかります。すぐに効果があらわれないからといって、服用量を増やしたり、途中でやめたりせず、指示通り服用してください。
日常生活のポイント
- できるだけ安静にしましょう:疲労やストレスが原因となり、免疫力が低下したときに発症します。十分な睡眠と栄養をとり、精神的・肉体的な安静をこころがけるようにしましょう。
- 患部を冷やさないようにしましょう:患部が冷えると痛みがひどくなります。できるだけ温めて血行をよくしましょう。
- 小さな子どもとの接触は控えましょう:水痘ワクチンを接種しておらず、水ぼうそうにかかったことのない乳幼児には水ぼうそうを発症させる可能性があります。
ワクチンでの予防
帯状疱疹はワクチンで予防可能な疾患です。2025年度(令和7年度)から、特定年齢層(例:年度内に65歳を迎える方など)を対象に、予防接種法に基づく定期予防接種の対象となりました。詳しくはお住まいの自治体の案内をご確認ください。
主なワクチン
現在主に使われているワクチンは下記の2種類です。効果・接種回数・接種可能な方の条件が異なります。どちらを選ぶかは年齢・健康状態・ご希望(費用・接種回数・副反応の程度)により判断します。
| 項目 | ビケン (生ワクチン) |
シングリックス (不活化ワクチン) |
|---|---|---|
| 接種回数/方法 | 1回/皮下注射 | 2回/筋肉内注射 (通常、1回目から2~6か月後に2回目) |
| 発症予防/帯状疱疹後神経痛予防効果(目安) | 約50% (年齢により低下) |
約90% (高齢者でも高い効果) |
| 持続期間 | 約5年 | 約10年 |
| 接種対象/副反応 | 免疫抑制状態・妊婦・高用量ステロイド投与中の方などは接種不可。 | 免疫抑制状態でも接種可能な場合がある。 副反応として注射部位疼痛・倦怠感・発熱などが多めとされる。 |
中央区 定期接種の自己負担額 (助成額は自治体により異なります) |
4,000円 | 10,000円 2回接種で20,000円 |
| 当院の接種費用 | 税込8,800円 | 税込22,000円 2回接種で44,000円 |
※表の数値や適応、接種回数・対象等は最新の公的情報・添付文書に基づきます。詳細は当院スタッフにご相談ください。
当院でのご案内
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当院では診断・治療・ワクチン接種のご相談を承っております。
- 定期接種の対象となる方は区から郵送される予診票が必要です。
- ワクチン接種のお問い合わせ・予約は受付またはお電話で承ります。問診の上、ワクチン取り寄せ後、後日接種となります。
- 過去に帯状疱疹にかかったことがある方、現在治療中の疾患・服薬がある方は事前に医師へご相談ください。
