2026年1月17日

子宮筋腫は、子宮の筋肉(平滑筋)から発生する良性腫瘍で、 生殖年齢の女性に非常に多くみられる疾患です。 多くの場合は命に関わるものではありませんが、 症状や生活の質への影響の有無によっては、 適切な評価と治療選択が重要となります。
子宮筋腫の頻度(疫学)
画像検査を用いた研究では、 30〜40代女性の約40〜60%に子宮筋腫が認められると報告されています。 ただし、そのすべてが症状を呈するわけではなく、 実際に治療を要するのは一部の方に限られます。
子宮筋腫は閉経後、女性ホルモンの低下に伴い、 多くの場合で縮小傾向を示します。
子宮筋腫の種類(発生部位による分類)
粘膜下筋腫
子宮内腔(内膜側)に突出するタイプです。 大きさが小さくても、 過多月経や不正出血、貧血の原因になりやすい という特徴があります。 不妊や流産との関連が指摘されることもあります。
筋層内筋腫
子宮の筋層内に発生する最も一般的なタイプです。 筋腫の大きさや数によって、 月経量の増加、月経痛、下腹部の違和感などを生じます。
漿膜下筋腫
子宮の外側(漿膜側)に向かって発育するタイプです。 月経症状は比較的軽いことが多い一方、 大きくなると膀胱や腸を圧迫し、 頻尿や便秘の原因となることがあります。
子宮筋腫でみられる主な症状
- 月経量が多い(過多月経)
- 月経期間が長い
- 月経痛が強い
- 貧血
- 下腹部の張り・圧迫感
- 頻尿・便秘
- 不妊・流産との関連が指摘される場合
なお、無症状のまま経過する筋腫も少なくありません。 「筋腫がある=必ず治療が必要」というわけではありません。
診断方法
診断の基本は経腟超音波検査です。 筋腫の大きさ、位置、数を評価します。 必要に応じて、MRI検査を行い、 詳細な位置関係や治療方針の検討を行います。
治療方針の考え方
子宮筋腫の治療は、 次の要素を総合的に考慮して決定します。
- 症状の有無と重症度
- 筋腫の大きさ・部位・数
- 年齢
- 妊娠・出産の希望
- 日常生活への影響
保存的治療(当院で対応可能な治療)
経過観察
症状が軽度、または無症状の場合は、 定期的な超音波検査で経過を観察します。
薬物療法
- 低用量ピル・LEP製剤
- 黄体ホルモン製剤
- GnRHアナログ/GnRHアンタゴニスト
薬物療法は症状の改善を目的とした治療であり、 筋腫そのものを根治する治療ではありません。 使用にあたっては、 効果と副作用のバランスを十分に考慮する必要があります。
手術治療について
症状が強い場合や、 薬物療法で十分な効果が得られない場合には、 手術治療を検討することがあります。
当院では手術は行っておらず、 必要と判断した場合は、 適切な高次医療機関へ責任をもってご紹介します。
受診をおすすめするタイミング
- 月経量が明らかに増えてきた
- 貧血を指摘された
- 下腹部の違和感が続く
- 妊娠を希望していて不安がある
まとめ
子宮筋腫は非常に頻度の高い疾患ですが、 すべてが治療を必要とするわけではありません。 大切なのは、 正確な診断のもとで、 ご自身のライフステージや希望に合った 治療方針を選択することです。
気になる症状がある場合は、 早めに専門医へご相談ください。
