2025年11月11日

ニキビとは?
ニキビ(尋常性ざ瘡)は、毛穴(皮脂腺)の出口が詰まり、皮脂やアクネ菌(Cutibacterium acnes)が関与して炎症を起こす慢性的な皮膚疾患です。
思春期から成人期まで幅広く見られ、「一時的な肌荒れ」として放置されがちですが、適切な治療を行わないとニキビ跡や色素沈着を残すこともあります。
主な原因
- ホルモンの変動:思春期の男性ホルモン(アンドロゲン)増加、月経周期・妊娠・ストレスによるホルモン変動で皮脂分泌が亢進します。
- 遺伝的要因:家族にニキビが多いと発症しやすい傾向があります。
- ストレス:ストレスホルモンが皮脂分泌を促進し、角化異常を起こすことが知られています。
- 食生活:乳製品や高GI食品(白米・甘い飲み物など)は皮脂分泌を促しやすいと報告されています。
- 化粧品やスキンケア製品:オイリー・コメドジェニック成分を含む製品は毛穴を詰まらせる原因に。
- 内分泌疾患:ニキビに加え、月経不順などがある場合、婦人科受診の上、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などのホルモン異常を疑い、血液検査で確認、内服治療することがあります。
治療法
◆ 外用療法
| 薬剤名 | 作用 |
|---|---|
アダパレン (ディフェリン) |
毛穴詰まりを改善するレチノイド様作用。 ニキビの初期段階に有効。妊婦禁忌。 |
過酸化ベンゾイル (ベピオ) |
強力な抗菌・抗炎症作用と角質剥離作用。 漂白作用に注意。 |
抗生剤外用 (ダラシン・ゼビアックス・アクアチム) |
アクネ菌の増殖抑制。炎症性ニキビに使用。 |
配合剤 (エピデュオ・デュアック) |
作用の相乗で治療効果を高め、 治療継続率を改善。 |
| イオウ製剤 | 抗菌・角化抑制作用を持ち、 軽症例や維持期に使用されることも。 |
※ 化粧品配合でも注目される有効成分
・アゼライン酸:抗菌・抗炎症・角化改善作用 妊娠中も安全に使用可
・サリチル酸:ピーリング作用により毛穴詰まりを改善
・レチノイド:肌のターンオーバーを正常化し、毛穴詰まりを防ぐ
◆ 内服療法
| 薬剤名 | 作用 |
|---|---|
抗生剤 (ミノマイシン・ビブラマイシン・ルリッドなど) |
炎症を鎮める作用。 長期使用は耐性菌・色素沈着などの副作用に注意。 |
漢方薬 (十味敗毒湯・清上防風湯・荊芥連翹湯・桂枝茯苓丸など) |
体質に応じて補助的に使用。 冷え・便秘・ストレス・月経不順などを伴う方に有効。 |
◆ 施術療法
- 面皰圧出:専用器具を用いて、毛穴にたまった皮脂や膿を除去する処置。
- ケミカルピーリング(自費診療):サリチル酸・グリコール酸などで角質を除去し、薬物治療との併用で相乗効果。
- IPL(光)治療(自費診療):アクネ菌の殺菌作用と皮脂抑制作用があり、赤み・炎症を改善。
- ステロイド局所注射:膿をもった硬いニキビに。短期間で炎症を抑える。
- CO₂フラクショナルレーザー:クレーター状のニキビ跡に効果的。
生活・スキンケアのポイント
- 1日2回、ぬるま湯+低刺激の石けんでやさしく洗顔。過度な洗顔やこすりすぎは逆効果。
- 保湿をしっかり行い、皮脂バランスを整える。
- 睡眠・食事・ストレス管理も大切。特に糖分・脂質の多い食事は控えめに
- ビタミンB群やビタミンCの摂取を心掛ける
- 化粧品はノンコメドジェニックテスト済み製品(ニキビができにくいことを確認している製品)を選ぶ。
- 自宅にいる間は額や顎に髪がふれないように、顔まわりの髪をまとめる。
まとめ
ニキビは「思春期の一過性の肌トラブル」ではなく、皮脂分泌・ホルモン・生活習慣・肌質などが複雑に関係する慢性の皮膚疾患です。
正しいスキンケアと生活改善、そして医師のもとでの外用薬・内服薬・施術を組み合わせることで、再発しにくい健やかな肌へと導くことができます。
